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繰延資産(くりのべしさん)とは、資産の種類の1つで企業の開業費や 商品の開発費などが含まれる。

 

繰延資産は過去に払った費用のなかで、これから先で企業に利益をもたらすと考えられるものを指す。要するに「交通費みたいに形には残らない費用だけど、今後利益を生む可能性があるものを資産としておこう」ということ。

定義

繰延資産とは、将来の期間に影響する特定の費用であって、次期以後の期間に配分して処理するため、経過的に貸借対照表の資産の部に記載された資産をいう。

将来の期間に影響する特定の費用

将来の期間に影響する特定の費用とは、すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう(企業会計原則注解・注15)。

旧商法上の取扱い

商法施行規則は、繰延資産を、創立費、開業費、研究費、開発費、新株発行費、社債発行費、社債発行差金、建設利息の8つに限定しており、その計上も任意とし(資産計上してもよいし、支出した期に全額を費用として処理してもよい)、さらに、資産計上したときは、比較的短期間(最長で5年。社債発行差金を除く)での期割償却を要請している。

 

これは、商法が債権者保護のための静態論的会計思考に基づいているからであり、同思考からは、資産は財産性、すなわち換金性をもっていることが要請されるからである。つまり、債権者を保護するためには、貸借対照表において、企業の債務弁済力の表示が必要となるため、財産性のない資産(換金不能の資産)を貸借対照表へ計上することは同法の立場からは本来認められない。

 

しかし、今日の会計思考が動態論的思考へと変化していることとのバランスから、同法においても、繰延資産の計上を条件付きで容認したのである。

新会社法上の取り扱い

2005年商法改正にともない、会社法の中でこの繰延資産は規定されることになった。 旧商法の社債発行差金は該当しなくなり、建設利息は繰延資産から廃止されて、さらに新株発行費は株式交付費とされた。

(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)

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